

あの日から 私はどうにかなってしまったようです。
先日のブログでも少し書きました
新潟市美術館での展覧会『〈正・誤・表〉 美術館とそのコレクションをめぐるプログラム 』
そこで体験したことが強烈に響いていて、今も熱くほとばしっています。
この展覧会の感想と出来事をどうしても自分のことばでお伝えしたく、ピタッとあう表現を探して、ずっと文章・構成を練っていました。
展覧会の内容が、私にはあまりに壮大でそこで受けた感動や面白さ、奥深さを私の拙い表現でお伝えきれるかわかりませんが、ようやくまとめることができたのでアップします。
今回のブログは長くなりますよ
わたしの魂に命をふきこんだ展覧会のことを書くのですから…

私の尊敬する学芸員 藤井素彦さんの企画する新潟市美術館『〈正・誤・表〉 美術館とそのコレクションをめぐるプログラム 』展があると知り秋分の日、電車に飛び乗って新潟へ。
藤井さんとは、2007年藤井さんが高岡市美術館に在職中にこどもたちとの写真ワークショップ作品「あかあかや/あかあかあかや/あかあかや/あかやあかあか/あかあかやあか」制作展示で大変お世話になり、忘れることのできない素晴らしい体験をさせていただきました。そして、美術に対する様々な興味深いお話を聴かせていただいて、ハーーーーーーッ目から鱗は落ちっぱなし!藤井さんの鋭い視点や見解は衝撃的で面白く、心に深く響き、お聞きしたことは今も私の中で生きています。私の好きな写真家ヴォルフガング・ティルマンスも建築家谷口吉生も、藤井さんから教えていただきました。
藤井さんの圧倒的な審美眼とズバ抜けたセンス、プロフェッショナルなお仕事。そして細やかであたたかい眼差しを持ちながらも、一方では世間をぶった切る強さをもつ独自の世界が美しい…尊敬する芸術世界の大先輩です。
その方が手がける展覧会 となれば「 行かねば!!」と相棒 Canon5DマークⅡをひっさげ、初新潟へ。


美術館に到着すると、
10年ぶりに藤井さんにお会いしたことで興奮している私にさらなる大興奮がおこります。
「 美術館内撮りまくってくれ。 HPに写真アップするよ。加登智子のクレジットいれるからさ! 」
といった内容のことを言っていただいて
カトトモコの 巨大写真スイッチが ON!になりました。
「 美術館 」×「 学芸員藤井さん 」×「 写真撮りまくってくれ 」
この掛けあわせそりゃ、興奮するでしょう!壊れるでしょう!!
大興奮で会場へ向かうのでした。
限られた時間のなかで写真を撮るというミッション。
感じるものすべてとらえたいとカラダ全部に ビッ!とアンテナを張って作品と美術館内のエネルギーを浴びて浴びて浴びながら 撮っていました。
「撮りたい」「見たい」「読みたい」「浸りたい」が一気に押し寄せるのを感じながら。
会場に入るや
ああ
最初っからノックアウトーーー!

まずは、
入口の「 はじめに 」に釘付けになった。
A4のプリントアウトした紙が透明なフィルムに入って
赤のピンでとめられている。しかも印刷はズレている。
!
やってくれた
これぞ藤井さん
一気にうれしくなって、
笑みがこぼれた。
〈正・誤・表〉 美術館とそのコレクションをめぐるプログラム
『 正誤表は、とても不安定で、動的なものです●いずれかを「正しい」とか「間違っている」と定めているようで、不意に更新され、複数の版が互いに矛盾します●原本から取り紛れてしまえば、それが何に対応していたか、分からなくなることもあります●美術と美術館のありようは、この正誤表と通じ合うものではないでしょうか●これまで展示の機会がなかった所蔵品の展示や、他者の「大切なもの」について考えるワークショップなどのプログラムを通じ、もろもろの価値・判断・状況の「不安定さ」を観察します● 』
ー 新潟市美術館〈正・誤・表〉展のパンフレットより
『 この小さな展覧会では、いくつか「ふつうはしないこと」を試みています。 言いかえれば、これは「うまくいえないこと」の陳列であり、正誤表のような、「なんとなく」の可視化の試みです。「正誤表」は、「なんとなく」の見取り図です。自己と他者との関係や、世の中の成り立ちなどを(たとえば、美術と美術館を)考える上で、更新を重ねる正誤表は、疎ましくも、不可避なのです。お楽しみいただけますように。』
ー 新潟市美術館〈正・誤・表〉展の会場に掲示されたテキスト「はじめに」より一部引用
美術って美術館って?美術そのものを問う




この後も
ふつうはない
ありえない展示が続きます。
『 新潟市美術館コレクション「価値と評判」』
『当館の所蔵品の中には、展示や他館への貸出の機会がほとんどなかったものもあります。理由はさまざまですが、学芸員も人間ですから「何となく」ということもあったかもしれません。今回は「何となく」抜きで、お見せしていなかったものを並べます。』ー 新潟市美術館〈正・誤・表〉展のパンフレットより
展示の仕方も内容もぶっ飛んでいる。
これは、生きている展示
たのしくて!たのしくて!たのしくて!
喜びにふるえ爆発しながら撮ってました。

IN
『 生きている美術館員 and OUT 』
『〈正・誤・表〉展の会期中、この青い天井の小さな部屋で、美術館のスタッフが勤務いたします。お客様の休憩室をかねておりますので、お気軽にお入りになって、ご遠慮なく話しかけてみてください。どうぞ、お気軽にお入りください。新潟市美術館のミッション・ポリシーのひとつに、「生きている美術館」があります。ここでは、生きている学芸員を展示しております。(留守のこともあります)さぁ、お客さまも、ここはひとつ展示されてみませんか。いかにもベタ(あるいは、予定調和)ですが、ベタ(ああ予定調和)それ自体の展示を考えることもできないでしょうか。つまり、お気軽にお入りください。』
ー 新潟市美術館〈正・誤・表〉展の会場に掲示されたテキストより
ワーーーーー
好きです!こういうの
ワクワクしてシャッターがとまらない





ここにずっと居ていいですか?


突如あらわれた部屋は倒れそうになるくらい大好きでした。
『 特別展示
新潟古町六番町喫茶店・白十字の記憶 』
『 この連作は、新潟市中央区のアーケード街、古町六番町にあった喫茶店「白十字」の店内を飾っていたものです。1946年創業、以来70年近く親しまれた新潟最古の老舗でしたが、2014年10月5日、惜しまれながら店を閉じました。
描いたのは、分水町(現・燕市)に生まれ、サンパウロで亡くなった画家・廣田健一でした。』
ー 新潟市美術館〈正・誤・表〉展の会場に掲示されたテキストより


美しい…
見た瞬間から好きです。心から好きです。
時間が許すなら、ずっと眺めていたい。
新潟市美術館〈正・誤・表〉店の会場に掲示されたテキストの中で
・20歳のとき猪熊弦一郎の門をたたき ・40歳を迎える頃、南米へと長い旅に出て、 1974年にブラジルの永住権を獲得、こどもたちに絵を教えながら制作。 ・半世紀近く親交したサンパウロ在住の画家、映画俳優の金子謙一さんは 「今も仲間と、廣田くんは本当の芸術家だったなぁと話すんです」 ・廣田は生徒たちに「絵は心の食べ物なんだよ」というのが常だったそうです。
と書かれていたこれらを読んで、
廣田さんの絵になぜこんなに惹かれるのか、わかったような気がします。

そして、今は亡き喫茶店「白十字」を想うと私は行ったことはないはずなのに、愛着のある大切なお店として私の中にありました。
A4プリントの在りし日の店内写真を
重ねて重ねて 撮りました。




「 記憶のかけら 」 会えてよかった。

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『 ワークショップ展示 わたしたちのたからもの
実施日:2018年8月22日 参加者:8名(小学6年生〜70代)
身近な人の「たからもの」を一つ、借りてきてください。美術館の展覧会で展示することを説明し、大切に取り扱うことを約束し、いっしょうけんめいお願いしてください。 その人にとって、「それは何か」「なぜ大切なのか」話を聞き、その内容のメモを取ってきてください。借りた「たからもの」と同じように、その持ち主の話も、大切に聞いてください。 その人にとって大切な「たからもの」を借りるのですから、こわしたり、痛めたりしないように、きちんと包んだり、箱にいれたりして、ていねいに運んでください。 そして、自分の「宝もの」も一つ、美術館まで持ってきてください。その宝ものを、ほかの参加者に貸してあげてください。参加者全員が、自分の宝ものを誰かに貸してあげることになります。 そのとき、「それは何か」「なぜ大切なのか」説明してください。自分の「たからもの」の大切さが、貸し出す相手に伝わるように、ていねいに説明しましょう。「それは何か」「なぜ大切なのか」聞いた話を、文章にまとめてください。その文章も、展覧会で展示します。』
ー 新潟市美術館〈正・誤・表〉展の会場に掲示されたテキストより
私はこのテキストの文章がとても好きです。美術館のありようをよく表していてそして、ひとりの方の大切な宝物をみんなで大切にできるステキなプログラムだなと思います。




実演公演「プラスマイナス3センチの笑い」 『 緻密に分解され、再構築される笑い。微妙にズレていく、語りの世界。気鋭の才能が、「笑い」の外側と内側の間で綱渡り。美術館で笑う、考える。出演|ナツノカモ(構成作家・演出家・ナレーター)』
ー 新潟市美術館〈正・誤・表〉展のパンフレットより

学芸員 藤井さんの超オススメ!
軽やかな笑いから唸らせる奥深い笑いまで、とにかく舌をまく驚かされる展開と笑いのセンスに脱帽。はじめての感覚、いや〜面白かったです!
ナツノカモさんが話すとイキイキと目の前にその光景が現れる。「海のはしご」のお話が特にすきでした。
お話と美しい絵と音楽が一つになっていて、終わったあとの余韻もステキでした。
〈正・誤・表〉展と
まさにぴったりの素晴らしい公演。お見事です!
講演のときに配られたリーフレットもとてもステキでした。

【 後編 】へ つづく…
☆☆
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